手根管症候群
よくある病気の1つです。
図に示す範囲での手のしびれが特徴的ですが、進行すると親指の付け根の筋肉が萎縮してしまいます。
進行してから手術をしても、しびれや筋肉の麻痺は改善が見込めなくなってしまいます。
原因は?
特発性(原因不明ということ)の靭帯肥厚、リウマチ、ガングリオン、腫瘍など多岐にわたりますが、ほとんどが特発性です。
検査するなら?
当院ではエコーで靭帯の肥厚の度合い(どこの場所で何mmの肥厚があるかまで検査可能)やガングリオンや腫瘍の有無、リウマチによる滑膜炎の有無などが比較的容易にチェックすることができます(検査費用も安く、検査の予約も必要ありません)
原因検索に時間と高いお金を出して(MRIやCTなど)検査をしても、費用対効果が低いと思われますので、当院ではお勧めしません。
※発症間もない患者さんではしびれの範囲が非典型的であったり、特徴的な身体所見が出なかったりするので、他に原因(首由来の合併も多い)がないかのチェックが必要となります。
治療法は?
手の使い過ぎを制限する装具やステロイドの注射など様々ありますが、一時的な効果しかないことが多いです。
手根管症候群は進行してくる性質が強いので、当院では早期手術を勧めさせていただいております。
長期間投薬治療や装具治療をされた患者さんで、結局症状が進行して筋肉の麻痺してから来院される患者さんもおられます。
せっかく頑張って我慢して治療していたのに、そうなってから手術をしても元に戻ることはありません。
早期手術のメリット・デメリット
メリット
①薬を使用しなくても、しびれがなくなる
②病院に通う必要がなくなる
③最終的に支払う総医療費が安い
デメリット
手術をしなくても、自然に治った可能性のある患者さんが一定数いる。
手術は?
当院での手術は手の平に25mm程度の皮膚の切開をおいて、直視下に手術を行います。
手術時間は15分程度、出血はほとんど認めません。
局所麻酔で行いますので、日帰りでできる手術です。
内視鏡を用いて手術をする方法
メリット:通常の手術より皮膚の切開が小さいとされていますが、結局は計20mm程度は切らないといけません。
デメリット:正中神経の母指球糸を切ってしまったり、靭帯を充分に切離できていないことによる症状の残存の合併症のリスクが高い。
以上のようにメリットが小さい割に、デメリットが大きいため当院では内視鏡を用いた手術は導入しておりません。