痛風・偽痛風
痛風および偽痛風の患者さんはとても強い痛みに耐えかねて来院されます。
元々病院嫌いでなかなか受診しない方ですらも来院してしまうくらいですから、よほど痛いのだと思います。
痛風(つうふう)
割と皆さんご存じの方が多いと思います。
一般的には食事療法(プリン体をあまり含まない食事を心がける)が推奨されますが、食事療法をどれだけ頑張っても尿酸値が下がらない方がおられます。
食事療法で尿酸値が下がる人は元々プリン体を摂取しすぎの人です。
現在日本で多いのが、尿酸を排泄する能力が低下している患者さんですので、食事療法をしても効果がないことがほとんどです。
尿酸が排泄される経路には①腎臓(尿)②腸管(便)の2つがあるとされています。
このどちらかがうまく機能しないと尿酸値が上昇してしまいます。
そして、何かをきっかけにして痛風発作を起こします。
こういった患者さんでは、尿酸を低下させる薬物療法を続けた方が良いのではないかとされています。
その理由(尿酸が高いことでの不具合)
①腎臓の機能が低下する⇒最悪人工透析の原因になりうる
②心臓血管・脳血管障害を起こす⇒心筋梗塞・脳梗塞の原因のひとつ
③高血圧⇒動脈硬化・脳出血の原因になりうる
腎臓の機能であれば血液検査で比較的簡単に評価できますが、血管の詰まり具合などは簡単には評価できません。
重要なのは、高尿酸血症を放置しないことです。
一度、痛風発作になった患者さんでは薬物療法に積極的な方が多い(あまりに痛いため、二度と経験したくないと思うようです)ですが、症状のない高尿酸血症の患者さんは痛くない分、意識が低い印象を受けます。
(定期健診や内科さんでの血液検査で気づかれます)
気づかれても、症状がないため内科さんでも尿酸を下げる治療をされることなく様子見とされることも多いようです。
しかし、当院では骨粗しょう症の治療と高尿酸血症の治療を啓発します。
悪くなってからでは遅いからです。
生きている間は元気で、痛みから解放された状態を継続するためのお手伝いをすることが重要と考えます。
尿酸値が薬物でコントロールできるようになったら、3か月分の内服薬を処方(本当は半年分くらい処方したいところですが、保険の関係で3か月とさせてください)し、半年に一回程度は血液検査を行います。
(他院や健康診断で検査されている方は検査結果を持ってきてください、それで代用します)
偽痛風(ぎつうふう)
聞きなれない言葉ですが、痛風に負けず劣らず強い痛みを感じます。
多いのはヒザや足首、肩の関節に生じます。
ヒザや足首の患者さんでは歩くことも非常に困難となります。
関節に針を刺して、関節液を検査します。
この際、関節液に細菌が混入していないかチェックする必要があります。(顕微鏡の検査をすれば概ねわかります)
万が一、細菌性関節炎であれば緊急手術を行わないと軟骨損傷が急速に進んで関節に永久に痛みが残ってしまいます(そうなるとゆくゆくは人工関節や関節固定術が必要になってしまいます)
顕微鏡の検査までするクリニックはほとんどないと思いますが、当院では導入します(手間がかかる一方で利益はほとんどありません)。
こういう疾患の場合は、しっかり診断をつけて治療を行うことが非常に重要と考えていますので手を抜きません。