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肩の痛み

肩関節の診察・診断・治療に関して苦手な整形外科医師は多数います。

元々肩関節に理解を持っている医師が少なかったこともあり、駆け出しの頃に肩関節に関する研修ができていないことが大きな原因の一つと思います。

ですので、ほとんどの開業医さんは肩関節に関しては不安を抱えたまま診療されていると思います。

自分自身を含め、肩の患者さんに関しては多くの誤診をしてきたのではないかと感じていますし、反省しております。

願わくば、肩周辺の症状の患者さんは肩の専門家の診察を受けることが望ましいと思いますが、専門家自体が少ないので受診することが難しかったり、待ち時間が長くなってしまいます。

ならば、患者さんの診察と診断を正しく行えるように丁寧に勉強しなおしましょうということになります(ガジェリー肩関節外科学を何度も読み直し、実践)

※ガジェリー先生の格言⇒診断をつけずに病気の治療をすべきではない


幸い、一宮西病院(5年間在籍)には肩関節の専門家(梶田先生)がいらっしゃったので、いろいろ質問することができ、勉強になりました(梶田先生は人格者でもありました)

また、肩関節鏡の手術に立ち会わせていただいたこともあり、肩関節周辺の解剖についても理解が深まりました(この場を借りて、ありがとうございました)

肩関節周辺の痛み

原因として多いのは50肩(凍結肩)、腱板損傷、インピンジメント症候群、炎症性痛などが挙げられます。
リハビリを行ったり、薬を使用したりします。

凍結肩(50肩)

炎症期に来院される患者さんも多いですが、痛みがあるから動かさないということをしておくと痛み・拘縮(動く範囲が狭くなっていく)の悪循環を引き起こします。

適切な鎮痛治療と早期可動域訓練(リハビリと自発的な運動)にて症状の悪化を防ぎ、治癒へ導きます。

 50肩の診断がついた場合は、状況に応じて伝達麻酔にて授動術(癒着している組織を剥がすことで、動かなくなった関節を動くようにすること)を行います。

また、肩や背部の筋膜などが原因となる痛みであれば筋膜リリースを行います。

凍結肩は6か月~12か月である程度自然に改善してきます(今までは18か月までには自然軽快すると信じられていたのですが、完全治癒することはないことが分かっています)

疾患に対する理解と治療が不十分ですと、関節の可動域が元に戻ることはありませんので、適切な診断と治療法を提案してくれる医師を探すことが必要です。

患者さんが希望されるなら拘縮解離術を行うことは有用だと思います。

まずは、徒手矯正(いわゆる手術ではないもの)で関節の可動域の改善を目指します(15~30%で再発するとされています)

※筋膜リリースの項目をご参照ください

 

腱板損傷

特に棘上筋腱の損傷を言います。20~30%の人で断裂があります(そのうち症状のある人は30%くらい)。

大きく分けて4種類の損傷の程度があります。

当院ではエコーの検査にて腱板に損傷があるかないかを診断します。(完全断裂か部分断裂かの診断はつきます)

次に、その断裂がどのようなことが原因で起こったのかを考察します。

起きた原因を考察し、その原因を回避できるようにリハビリを行うことで症状の改善を目指します。

急性期は消炎鎮痛薬と安静で経過を見てリハビリをしていきます。

多くの人が数か月~6か月程度で症状は改善しますが、改善が乏しい方であれば、麻酔をした上で肩関節内転授動術を施行すると65%くらいの患者さんで症状が改善します。

それでも症状が改善しない場合は、腱板縫合などの手術加療を行う必要が出てきます。

石灰沈着性腱板炎

比較的強い肩痛を認めます。現状では原因はわかっていませんが、自然軽快することの多い疾患です。

自然軽快するまで、適切な消炎鎮痛治療を行いますが、いつ自然軽快するかは個人差があります。

なかなか治らない場合では、石灰の吸着や手術的に除去する処置を必要としますが、石灰を取り切れないと症状が消失することがありません。

この処置については充分経験を積んだ医師にやってもらうのが望ましいと思います(できれば内視鏡を用いたものか、肉眼的に確認しながら)

 

 

 
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