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橈骨遠位端骨折

あやまって転倒して手をついた際に骨折する、ありふれた骨折の1つです。

多くは骨粗しょう症を来した女性でみられますが、若年の男女でもスポーツや高エネルギー外傷で骨折を来します。

治療方針

転位(骨のズレ)の少ないような骨折であれば、サポータやギプス固定で治療が可能ですが、少なくとも3~4週間の外固定が必要となります。

外固定にて仕事や日常生活に大きな支障をきたすような患者さんでは、早期手術を提案させていただきます。

※手術をすれば、外固定なしで早期に手を使用することができます。

写真に示すような骨折(AO分類でC2タイプ)であれば、手術適応ですので、早期手術を提案させていただきます。

以下の写真は全て同一の患者さんです。

手術について

手術は以下の写真に示すように、手の平側に約40mm弱の創で特に問題なくできます。

麻酔は、腕神経叢ブロック(わんしんけいそうぶろっく)にて行います。

手術時間は40分程度で終わり、出血はほとんど来しません(方形回内筋を温存して手術をします)。

当院では来院された日に手術加療を行うことができますので、翌日から手を使っていただくことができますし、日帰りで手術が行えます。

右下に示しますレントゲンような形で、チタン製のプレートをネジで固定します。

骨癒合が得られましたら、金属を抜くかどうかは患者さんと相談になりますが、入れたままで差し支えはありません。

若い患者さんでは金属を抜去することを希望される方が多いですが、高齢者では入れたままの方が多いです。

大きな病院での橈骨遠位端骨折の裏話

1.大きな病院に受診されると比較的若手の医師に振り分けられることの多い骨折です。

手術にあたって注意すべき点がいくつもあり、決して簡単な手術ではない(かといって難しくもありません)ので充分に問題点を理解している医師に手術をしてもらうことが重要です。

2.大きな病院ですと、手術枠が確保できずに手術まで1~2週間待たされることも多いので、その分社会復帰も当然遅れます。

手術をするのであれば、早いに越したことはありません。

3.方形回内筋をすべて切離して手術をされたり、創の大きさも5~6cm加えられることが多く見られます。

必要以上に大きな創ができること、術後の手首を回す力が弱まる可能性が高くなる可能性があるので、適切に手術をしてもらうことが大切です。

4.症例によっては麻酔の効きが悪く、術中に痛みを我慢する必要が出てきます。当院では充分に麻酔が効くように工夫をしておりますので、痛みに耐えてもらいながら手術をすることはありません。

5.術後のリハビリに通わされることが多いですが、基本的にご自身でできる範囲でリハビリ(担当医がやり方について指導いたします)をしてもらえば、充分可動域は得られます。

10%程度の患者さんでは、手首の可動域が悪いため、リハビリに通ってもらう必要が出てきますが、当院では術後2~3週間でリハビリに通ってもらうかどうかを判断します。

6.術後の外来でのフォローにおいて注意すべき点を診察してもらっていなければ、腱断裂の可能性が高まります(若手の先生では、その注意点を知らないケースが多い)

7.病院によっては、手外科専門医でないと橈骨遠位端骨折の手術をしてはならない、という独自ルールがあるような骨折です。

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