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高額機器を置かない理由

高額医療機器

代表格はCT・MRIになると思います。

導入費用・維持費などを考えなければ、整形外科診療を行う上であれば有難い機器になります。

通常診療で必要か

この患者さんにCTやMRIを撮影したい、と思える状況というのは割と少ないと感じています。

感覚としては、初診患者さん30人を診察すれば一例撮影するかどうかという感じです。

それでも積極的に撮影しようというわけではなく、患者さんが希望されるなら撮りましょうという感じです。

特に整形外科領域ではCTを撮影することは稀です 

※CTは骨折・人工関節などの手術に術前計画として撮影or胸部打撲で血気胸の有無をチェック位でしか撮影機会がありません。

血気胸の有無に関してもエコーやレントゲンをうまく駆使すれば充分診断がつきます、肋骨骨折についてもエコーで診断がつく時代になりました

どういう患者さんなら積極的に検査するか

①脊髄由来の運動麻痺が生じている or 痺れで生活に強い支障をきたしている患者さん

②非典型的な骨・軟部腫瘍の患者さん(悪性腫瘍の可能性があるようなケース、手術を検討する際に切除範囲を決めたりアプローチを検討するのに役立つ)

以上に関しては初診患者さん200人に一人くらいでしょうか。もっと少ないかもしれません。

撮影を提案する場合は

①肩や膝などの大関節の診断目的(腱板や靭帯損傷、軟骨下骨の損傷の有無など)⇒手術を必要とするかどうか判断目的

②脊髄由来のしびれの患者さんで、保存的治療に抵抗を認める場合

③比較的強い腰痛で、歩行困難の患者さん(胸腰椎圧迫骨折を早期診断・早期加療するため)

※ 上記患者さんに関しては初診30例に一人くらいでしょうか

※※肩の腱板損傷に関してはエコーで診断がつくようになってきています

番外

化膿性関節炎や化膿性腱鞘炎(簡単に言うとバイキン感染)の疑われる患者さんで、どこまで感染が拡がっているかを診断して、手術範囲を決めるため(年に数例程度)

では実際は?

一般的な整形外科開業医さんには、100人/日程度患者さんが来られます。

そのうちの初診患者さんは10~20人くらいではないでしょうか。

大半は再診患者さんやリハビリ患者さんですので、MRI撮影を提案する患者さんは一日に一人いるかどうかくらいの計算になります。

MRI撮影をしないといけない患者さんに至っては1週間に一人くらいしか会うことはありません。

つまり、MRIを導入しても使用することがあまりありません。

ですので、MRI撮影が必要な患者さんや提案・希望される患者さんに関しては、大病院にMRI撮影の連携をさせてもらうことがよいのではないか、という考えに至りました。

MRIで採算をとるには?

メーカーさんとの打ち合わせにおいては機器自体は2例/日撮影すれば採算が合いますよ、ということでした。

しかし、機器を置くための敷地・建物の費用、検査技師さんの人件費などを考慮すると、3例/日の撮影が必要と試算しました。

つまり、通常の診療をしていては全く採算が合いません。

MRI撮影が必要ない患者さんまで口説いて撮影しないと大赤字を垂れ流す機器になってしまいます。

患者さんに必要ないであろう検査を提案するのは、僕のポリシーに反するので導入を見送りました。

※脊椎専門クリニックなどではMRIの必要度が高い患者さんが多く来院されるでしょうから有益だと思いますが、そういう専門性を謡わないのであれば導入しない方がよいかと思っております。

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