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大腿骨近位部骨折

[2020.06.03]

ここ数年、右肩上がりに高齢者の大腿骨近位部骨折の例が増えております。
一方で、手術方法の改良や使用インプラントの改良により、独歩で自宅退院される患者さんも増えています。


大腿骨頸部内側骨折には手術方法が大きく分けて2種類あり、①骨接合術(骨の先端を温存する)②人工骨頭置換術(骨の先端を切除して人工物に入れ替える)があります。


骨接合術

インプラントの改良により、再手術率の大きな低下と術後の痛みの低下をもたらしており、患者さんの早期社会復帰が得られるようになっています。
大半の例で術後2週間程度で自宅退院になっています(受傷後48時間以内に早期手術することも理由でしょう)

人工骨頭置換術

手術方法の改良により、術後の痛みがかなり減少し、大半の患者さんで術後1日目から全荷重で歩行が可能になっています。
90歳近い患者さんでも術後1週間で自宅退院してしまうほどのインパクトがあります。
いままでの常識を覆すような手術方法と感じています。
今までの方法ですと、必要以上に股関節周囲の筋肉組織を切離していたことから術後の痛みが強くてリハビリが進まないというケースが多かったのですが、CPP(Conjoint tendon Preserving Posterior)という手術方法が現在の病院でも採用されるようになってから圧倒的に患者さんのリハビリ経過が良いと感じています。
このCPPという手術方法は手術方法が従来よりは難しくなり、少し時間がかかるのですが、術後の経過の違いを考えると一手間かける価値は十分にありますし、術後脱臼の心配もほとんどないため、禁忌体位も意識する必要がありません。
(時間がかかると言っても従来式よりも10分程度長くなるだけで、皮膚の閉創も含めて40分程度で終わります)

※お若い患者さんであれば人工股関節置換術(THA)を第一選択にした方がよい場合もありますので、担当の医師と充分話し合った方がよいでしょうし、THAの手術をするなら専門の医師に手術をしてもらうことが望ましいと思います(腕の違いが出ます)。

こういった最新の治療の良いところ、悪いところなどを理解した上でメリットが多いなら、新しい技術や知識を積極的に採用していく事が大切であると感じています。
患者さんも情報収集をして、どこの医療機関なら良い医療を受けられるか考えていく必要があると思います。

 

一方、大腿骨転子部骨折に関しては最近、粉砕型の骨折患者さんも多く、劇的に術後の経過が変わっている印象もありませんが、正しい手術方法についての認知が進んできていることで変化が出てきています。

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