むくみ(浮腫)
むくみ(浮腫 ふしゅ とも言います)を訴える患者さんは比較的多くおられ、女性に多い印象を受けます。
原因自体には様々なものがあり、心臓の機能低下であったり低アルブミン血症(腎臓や肝臓の機能低下、低栄養など)、甲状腺機能低下、外傷や手術・炎症、リンパ浮腫などが挙げられます。
整形外科的に多いのは、外傷後、あるいはリウマチ性疾患が原因となるものが多く、特に見逃されやすいのはリウマチ性疾患によるムクミです。
むくみ(浮腫)は侮られている
むくみについて真剣に向き合ってくれる医者が少ないと感じています。
少ないというか、ほとんどいないのではないでしょうか。
その理由としては(僕の勝手な推測ですが)
①命に関わることがほぼない
②痛みがあるわけではないので、日常生活にあまり支障がない
③原因が多岐にわたりすぎており、診断が案外難しい
④現在の医師は専門性を謡いすぎており、多岐にわたる原因の中から診断する癖がついていない(むしろ興味がないのかもしれません)
⑤患者さんのむくみに対する悩みについての理解不足
むくみは丁寧に診察・検査をすれば原因がみつかる
むくみの原因を探せば、何かしら見つかります。
患者さんと医療者にやる気さえあれば、ほとんどの浮腫を治すことができます。
ただ、時間・労力・お金がかかります。
そんなに頑張ってまでむくみを治す必要がないのではないか、と医療者は思っている節もあると思います。
当院では、患者さんのやる気があるならばむくみについて本気で取り組んでみようと思います。
※むくみも真面目に診療をすれば、患者さんが治って喜んでもらえるのではないかと思いますので、面白いのではないかと思っております。
整形外科的な見逃される浮腫の原因
RS3PE症候群: 浮腫を伴う寛解性血清反応陰性対称性滑膜炎症候群
とても覚えられそうもない名称がついております。
関節炎と圧痕性浮腫を伴います。
診断さえつけば、ステロイドを上手に使って治療ができます。
診断がつかないことには放置しかありませんが、現状いったいどれほどの患者さんが見逃されているのかという位、医師側はこの病気の存在を知りません。
悪性腫瘍(ガン)が原因となっていることがあり(16%程度との報告)、ステロイドの治療反応性が悪い場合は全身のガン検索を行う事で早期にガンを発見できる可能性があります。
ですので、ただのむくみと侮るなかれ。
早期にガンを発見すれば治癒も見込めますので、患者さんを助けることができます。
発生頻度は、総合診療科を受診した患者さんの0.09%がこの病気であったそうです。約1000人に一人なので、少なくはないですね。
僕の感覚では2か月に一度くらいの頻度で、この病気を疑うような患者さんに出くわしている印象があります。
この病気を意識しているだけで、1~2年に一度ガンの患者さんを早期に見つけてあげられそうです。